ブラッドピット主演のマネーボールという映画を見た。大リーグの、とあるチームのゼネラルマネージャー(GM)となった主人公が破天荒なやり方で貧乏球団を常勝球団に変えてしまう話らしい。「あきらめるな、挑戦を」というキャッチフレーズにも魅かれた。アメリカンドリームの展開を期待して再生ボタンをおすこと133分、あっという間のエンドロールだった。
期待は全く裏切られた…いい意味でだ。内容が想定外だったのだ。チームは一気に強くなった。しかしそれは一人のヒーローや何かの奇跡によってではない。選手の評価基準をそれまでの評価と全く異なる方法に変更し、その基準に則ってチームを再編成したことによってなのだ。
ネタばれで恐縮だが例えば、ピッチャーは防御率ではなく、三振が取れてホームランを打たれない、四球を出さないことを基準に優劣を決めたのだそうだ。バッターは打率ではなく、出塁率を重視したそうだ。ファーボールで塁に出たっていいのだ。とにかくアウトにならないこと。これだけでもビックリな話だが、更に驚いたことに、この映画は架空の話ではなくて、今やプレーオフの常連であるアメリカメジャーリーグベースボールのアスレチックスの実話であったのだ。
エンドロールを見ながら思った。チームは誰もがやらなかった選手の評価基準に則って編成したから勝てたのだろうか?それだけではないだろう。将来的な目標に対して、どんなに叩かれてもブレずにそれを見失わないトップの精神。理論を知ってもらうために彼はロッカールームに出向き選手に声をかける「信じないかもしれないが、このチームは必ず優勝するのだ」ベンチ裏で1人1人に語る彼の声がチームを動かし始める。そこではじめてチームは常勝集団へと変わる。理論で人は動かない。トップの情熱によって人は動く。
ビジネスでも同じであろう。ビジョンを持つ。そのビジョンは「今」に当てはまっているだろうか?既知概念にとらわれてはいないだろうか?それを知るためには多くの部下と話さなければいけないだろう。それを具体的かつわかりやすい言葉で共有する。皆に理解してもらうためには部下のいるフィールドに降りて話をしなければいけないだろう。一人一人に役目を持たす。そのためには部下がどういう人間なのかを深く知らなくてはならないだろう。
ありがとう。偶然とはいえこの映画を見てほんとうに良かった。